民事再生の監督委員

文責:弁護士 上田佳孝

最終更新日:2021年01月21日

1 通常民事再生は申立代理人と監督委員の2人以上の弁護士が関与するのが通常

 会社の通常民事再生では、ご自身で選んで依頼する弁護士(「申立代理人」といいます。)と別に、監督委員という弁護士が関与するのが通常です。
 参考リンク:裁判所・民事(通常)再生手続を申し立てる債務者の方へ
 監督委員と上手に付き合うことは、民事再生を成功させるうえで非常に大切ですので、ここでは、監督委員の役割や付き合い方についてご説明します。

2 監督委員は、裁判所が選ぶ公平中立な立場の弁護士

 監督委員は、裁判所が選ぶ第三者的立場の弁護士です。
 申立代理人は、ご依頼くださる会社(法的には「再生債務者」といいます。)の味方という立場の弁護士で、民事再生の債権者に不利益なことでも通そうとすることが珍しくありません。
 債権者からすると、会社の味方の弁護士しか関与しないのに半強制的に債務を減らされるのは不公平ともいえ、裁判所は、第三者的な立場の監督委員という弁護士を選んで、民事再生の重要なポイントで関与させます。

3 監督委員の主な業務

 監督委員は、まず民事再生手続を開始してよいかの意見書を裁判所に提出します。
 次に、再生債務者の財産を調査し、時価をいくらかと評価するか等調査します。
 事業譲渡する場合は、事業譲渡先や事業譲渡の対価が適正か調査します。
 また、再生債務者が親族に多額のお金を渡す等不適切なお金の使い方をした場合は、これを取り返す(否認権の行使といいます。)権限もあります。
 そして、再生計画案(債務をどれくらい減らして何年かけて支払うかの案)を出す場合、これに対する意見書を出します。

4 監督委員には要望は伝えるが、敵対しないのが基本的な付き合い方

 このように、監督委員がNoと言えば、そもそも民事再生手続が開始されなかったり、再生計画案が債権者に賛成してもらえなくなったりと、手続きが進みません。
 そこで、監督委員の弁護士の、資料を出すようにとか、説明するように等の要望には誠実に答え、敵対するのでなく歩調を合わせるのが基本です。
 しかし、監督委員の言うことをきくだけでは、債権者側に大きく妥協した内容になったり、本当に目指したい再建の方向性とずれる可能性もあります。
 民事再生の主人公は会社と社長です。
 目指す再建の方向性や要望は、監督委員に伝えて説得し、又はご自身で依頼した申立代理人を通じて理屈付けや説得をしてもらう必要があります。

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