民事再生と担保がついているものの扱い

文責:弁護士 上田佳孝

最終更新日:2021年04月05日

1 民事再生では担保権の実行を止められないのが原則

 民事再生は、会社が裁判所に申請して借金を減額してもらい、分割で返済することで、事業を立て直す手続きです。

 参考リンク:裁判所・通常の民事再生手続は,どのような特徴がある手続ですか。

 民事再生する会社が所有する工場等に、銀行が抵当権を設定していることがよくあります。

  民事再生法では、抵当権は別除権といい、別除権の実行は妨げられないとされてい

ます。

 また、民事再生法では、全ての債権者を平等に一旦支払いを止めて、減額しなけれ

ばならないとされていますので、抵当権者だけ約束どおり返済することも原則的にできません。

 約束どおり返済しない以上、銀行が抵当権を実行することは自由であり、抵当権が実行されれば、先の例では工場がなくなってしまい、事業が立ち行かなくなるリスクがあります。

2 抵当権を設定している銀行と合意して約束どおり返済を続けられることもある

 しかし、これでは民事再生で事業を立て直せるケースは非常に少なくなってしまい

ますから、会社と、抵当権を設定している銀行が合意して、約束どおり返済を続けられるケースもあります。

 そうすると、銀行に工場を売却されるのを防ぎ、事業を継続する道が開けます。

 弁護士の世界では、これを別除権協定と呼んでいます。

 これには、銀行側が応じるかどうか以外に、その工場が事業継続に必要不可欠であるかや、工場の時価と担保に入っている負債額のどちらが多いか等がポイントになります。

3 抵当権を設定している銀行に支払う額の計算方法

 たとえば、銀行が時価3000万円の工場に抵当権を設定して、5000万円を貸し付けているとします。

 この場合、銀行が抵当権を実行すれば、3000万円は回収できますが、残る2000万円は、民事再生によって減額された分しか回収できなくなります。

 このケースで別除権協定を裁判所に認めてもらうには、3000万円分は約定どおり返済するが、残る2000万円は民事再生の再生計画で減額された額を分割で支払うという内容で検討するのが王道です。

 不動産の時価が3000万円と見積もるのは、不動産業者の査定や鑑定によるのが通常ですが、銀行側と会社側で時価に食い違いがでることも多いです。

 銀行側は、時価が高く見積もれる方が多く返済してもらえる一方、会社側は、時価が低いほど返済額が少なくて済むからです。

 どこで落しどころを見つけるかは弁護士の腕の見せ所でもあります。

 詳細は弁護士までおたずねください。

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